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整備管理者
整備管理者とは
整備管理者とは、日本の道路運送車両法に基づいて、大型自動車使用者等が自動車の点検及び整備並びに自動車車庫の管理に関する事項を処理させるために一定の要件を備える者から選任した者の呼称です。
一定台数以上のバス、大型トラック又は事業用自動車を使用する自動車の使用者は、その使用の本拠ごとに、一定の要件を備える「整備管理者」を選任して必要な権限を付与し、自動車の点検・整備及び自動車車庫の管理に関する事項を処理させなければなりません。
自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持する義務を負っています(道路運送車両法 第47条)。
しかし、大型バスのような車両構造が特殊な自動車で事故の際の被害が甚大となる自動車を用いる場合には、専門的知識をもって車両管理を行う必要があります。
また、使用する自動車の台数が多い場合には、使用者自らが点検・整備について管理することが困難となり、管理・責任体制が曖昧になるおそれがあります。
整備管理者制度は、本来、使用者が道路運送車両法第47条の規定等に基づき、その使用する自動車の点検及び整備並びに車庫の管理について自主的に安全確保及び環境保全を図るための注意を払うべきであるものの、使用する自動車の台数が多い場合には使用者自らが点検・整備について管理することが困難となり、管理・責任体制が曖昧になるおそれがあること、大型バスのような車両構造が特殊な自動車で事故の際の被害が甚大となる自動車を用いる場合には専門的知識をもって車両管理を行う必要があること等から、自動車の使用者が整備管理者を選任し、点検・整備に関する管理・責任体制を確立することによって、自動車の安全確保、環境保全を図るために設けられています。
大阪で整備管理者を選解任する際には、是非ご相談くださいませ。
行政書士堀内法務事務所は、大阪運輸支局近くに事務所がございますので、すぐに対応することができます。
整備管理者の職務と権限
整備管理者は下記事項の執行に係る基準に関する規程(整備管理規程)を定め、これに基づいて、その業務を執行しなければいけません。
- 日常点検(道路運送車両法第47条の2第1項及び第2項)の実施方法を定めること。
- 日常点検の結果に基づき、運行の可否を決定すること。
- 定期点検(道路運送車両法第48条第1項)を実施すること。
- 日常点検・定期点検のほか、随時必要な点検を実施すること。
- 日常点検・定期点検・随時必要な点検の結果、必要な整備を実施すること。
- 定期点検及び5の整備の実施計画を定めること。
- 点検整備記録簿(道路運送車両法第49条第1項)その他の点検及び整備に関する記録簿を管理すること。
- 自動車車庫を管理すること。
- 1~8に掲げる事項を処理するため、運転者、整備員その他の者を指導し、又は監督すること。
使用者には整備管理者がこれらの業務を遂行するために、整備管理者に対し必要な権限を与えることが義務付けられています。
整備管理者は、使用者が内部組織における整備管理者の執行する業務とこれに伴う権限を明確にし、自主管理体制の確立を図るとともに、整備管理者に独立した権限が与えていることから、仮に利益追求を最優先する使用者が安全確保・環境保全を軽視して自動車を運行させようとした場合であっても、整備管理者は利益追求のみにとらわれることなく安全確保・環境保全の観点から運行可否の決定等を行い、適切な車両運用を確保する必要があります。
整備管理者の責任
整備管理者は、自動車の使用者から「自動車の点検・整備及び自動車車庫の管理」に関する事項を処理するため必要な権限が与えられ、これらの職務の執行責任者として業務を実施するわけですから、仮に整備管理者が職務を怠り、自動車の点検整備に係る事故が発生した場合は、整備管理者が直接的に責任を負うことになります。
なお、自動車の使用者は、整備管理者を選任した後においても常に整備管理者の職務及び自動車の点検整備が適切に実施されるよう注意と監督をすべき責任があります。
また、地方運輸局長は、整備管理者が道路運送車両法等に違反した場合には、自動車の使用者等に対して整備管理者の解任を命ずることができることになっています。
このようなことから、整備管理者は、職務の重要性と自己の責務を十分認識し、その職務を的確に遂行する必要があります。
整備管理者が逮捕された事案
【事故概要】
平成27年4月、乗客24名を乗せた貸切バスが、赤信号で停止していた別の貸切バス(乗客33名)に追突。
乗客15名が軽傷を負った。
【事故後の報道】
この事故により、追突したバス会社の社長、整備管理者らが、道路交通法違反などの疑いで逮捕され、起訴された。
(起訴状では、法定3ヶ月点検の一部を実施せずブレーキ能力を低下させ、保安基準に適さないまま運転させたとされる。)
整備管理者解任命令
整備管理者が道路運送車両法若しくは道路運送車両法に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、自動車の使用者に対し、整備管理者の解任を命ずることができる規程が設けられています。(道路運送車両法第53条)
整備管理者に以下のような事例が発生した場合には、解任命令の対象となることがあります。
なお、以下でいう「事故」とは、自動車事故報告規則(昭和26年運輸省令第104号)第2条第1号、第3号及び第11号に定めるものをいいます。
- 整備不良が主な要因となる事故が発生した場合であって、その調査の結果、当該自動車について日常点検整備、定期点検整備等が適切に行われていなかったことが判明した場合
- 整備不良が主な要因となる事故が発生した場合であって、その調査の結果、整備管理者が日常点検の実施方法を定めていなかった、運行可否の決定をしていなかった等、整備管理規程に基づく業務を適切に行っていなかったことが判明した場合
- 整備管理者が自ら不正改造を行っていた場合、不正改造の実施を指示・容認した場合又は不正改造車の使用を指示・容認した場合
- 選任届の内容に虚偽があり、実際には資格要件を満たしていなかったことが判明した場合又は選任時は資格要件を満たしていたものの、その後、資格要件を満たさなくなった場合
- 日常点検に基づく運行の可否決定を全く行わない、複数の車両について1年以上定期点検を行わない、整備管理規程の内容が実際の業務に即していない等、整備管理者としての業務の遂行状態が著しく不適切な場合
整備管理者の解任命令事例
事例1
解任命令の理由:道路運送車両法第41条の規定違反
内容
街頭検査において、不正改造に係る整備命令書を発出したことから、この車両について監査を実施したところ、整備管理者はこの事実を認識していながら運行の可否決定をして出庫させていたことから、道路運送車両法第41条の規定違反を確認した。
事例2
解任命令の理由:道路運送車両法第47条の2及び同法第48条の規定違反
内容
巡回監査を実施した結果、配置されている車両すべてについて、日常点検を全くしておらず、整備管理者としての業務である運行の可否決定を行っていなかったことから、道路運送車両法第47条の2の規定違反が確認された。
また、同じく配置されている車両すべてについて、3ヶ月点検整備を実施していないことから、道路運送車両法第48条の規定違反も確認された。
整備管理者の資格要件
整備管理者として選任するためには、次のいずれかの資格要件を満たすことが必要です。
- 整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車の点検若しくは整備又は整備の管理に関する2年以上の実務経験を有し、かつ、地方運輸局長が行う研修を修了した者であること
- 一級、二級または三級の自動車整備士技能検定に合格した者であること
実務経験等の解釈
(1)「整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車」とは、
① 二輪自動車以外
② 二輪自動車
の2種類です。
(2)「点検又は整備に関する実務経験」とは、以下のものをいいます。
① 整備工場、特定給油所等における整備要員として点検・整備業務を行った経験(工員として実際に手を下して作業を行った経験の他に技術上の指導監督的な業務の経験を含む。)
② 自動車運送事業者の整備実施担当者として点検・整備業務を行った経験
(3)「整備の管理に関する実務経験」とは、以下のものをいいます。
① 整備管理者の経験
② 整備管理者の補助者(代務者)として車両管理業務を行った経験
③ 整備責任者として車両管理業務を行った経験
整備管理者 選任前 研修
選任前研修については、車両管理業務を行うに当たって必要な基礎的知識及び基礎的能力を備えさせるため、次の内容を中心として行うこととされています。
- 整備管理者制度の趣旨、目的
- 整備管理者の業務、権限
- 点検・整備の方法
- 整備管理者の関係法令
地域によっては2ヶ月に1回程度の開催で、申込日に即日満員になる事もあります。
整備管理者は、自動車の点検・整備等、自動車の管理に関する業務を的確に処理する必要があり、自動車の安全性を確保するための整備技術、自動車の管理能力等が求められています。
整備管理者になろうとする者は、これらの能力などが求められてるとともに道路運送車両法等の法令の基礎的な知識を有していることが必要であることから、当該研修において、これらの能力や知識を具備してもらうこととしています。
なお、自動車整備士技能検定の合格者については、整備管理者としての能力を有していると解されることから、選任前研修の修了は必要がないとしています。
整備管理者 選任後 研修
選任後研修は、自動車運送事業者が選任している整備管理者に対し、自動車技術の進歩及び保安基準や法定点検項目の改正等の法令改正その他の自動車を取り巻く環境の変化を周知することにより、整備管理者の知識・能力を維持・向上させるために地方運輸局長が行う研修です。
選任後研修は次の内容を中心として行うこととされています。
- 近年の事故事例
- 法令改正等
- 自動車技術の進歩、使用実態の変化にともなう車両管理の手法
自動車運送事業者は選任した整備管理者について研修を行う旨の通知を受けたときは、整備管理者に当該研修を受けさせなければなりません。
整備管理者は、自らの職務の遂行のために必要な知識の習得や能力の向上に普段から努めなければならないことはもちろんですが、法令により自動車運送事業者は、選任している整備管理者に対し地方運輸局長から研修を行う旨の通知を受けたときは、整備管理者に当該研修を受講させることが義務づけられています。
(貨物自動車運送事業輸送安全規則第15条及び旅客自動車運送事業運輸規則第46条)
選任後研修は、自動車運送事業者が選任している整備管理者が、選任後、自動車技術の進歩及び保安基準や法定点検項目の改正等の法令改正その他の自動車を取り巻く環境の変化について受講することにより、整備管理者としての管理能力を維持・向上、また、適切に自動車の点検・整備を行わせるために必要な知識の習得の場となります。
このため、自動車運送事業者は、選任している整備管理者の研修の受講状況について、一覧表などにより常に把握しておくとともに、地方運輸局の研修の実施予定を基にした研修の受講計画を立てるなどして、受講漏れがないようにする必要があります。
外部委託
外部委託とは、他の企業に所属する職員から整備管理者を選任することをいいいます。
事業用自動車については、原則として整備管理者の外部委託は認められませんが、以下の(1)~(4)の条件を全て満足する場合には、自企業内で選任する場合と同等の整備管理を行うことができると考えられるため、例外的に外部委託が認められます。
なお、本取扱いはあくまでも例外であるので、厳格に運用されます。
事業用自動車について、例外的に外部委託が認められる条件
(1)委託者及び受託者がグループ企業内であること。
(2)グループ企業が一体となって輸送の安全確保に取り組む体制を確保するため、安全管理規程及び整備管理規程その他必要な規程類について、次の条件を満たしていること。
イ) グループ企業が共同で作成していること。
ロ) 親会社と子会社の関係のみならず、子会社同士の関係においても、親会社を介して判断基準を統一することを目的として、親会社が子会社に対し指揮、命令及び教育を行う旨が明記されていること。
ハ) 整備管理者が委託者に対し財政面を含めた意見具申を直接行うことを目的として、定期(3月に1回以上)に会議等を開催する旨が明記されていること。
(3)整備管理の適切な実施を担保するため、次の条件を満たしていること。
イ) 外部委託をすることについて、受託者及び受託者の事業主又は事業場責任者が同意・承認していること。
ロ) 整備管理者が他の業務又は役職を兼ねている場合、その兼職内容及び兼職に関わる事業所間の距離が、整備管理者の業務を行うに支障とならないこと。
(4)当該事業者が、過去2年間のうちに(1)~(3)の条件に違反したとして、整備管理者の選任義務違反とされた者でないこと。
この条件に違反して外部委託していることが判明した場合、正規の整備管理者は存在しないこととなるため、整備管理者の選任義務違反となり、行政処分等の対象となります。
整備管理者の兼任
行政書士 堀内法務事務所では、大阪の運送業許可申請に特化しており、大阪・寝屋川市を拠点に、近畿エリア(大阪府・奈良県・京都府・滋賀県・兵庫県・和歌山県・三重県 )にも対応しております。
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